日本茶は「緑色」と考えるのが一般的です。
でも、茶種によって黄色、黄緑色、緑色、茶色と湯のみに注がれたお茶の色は様々です。
カラフルな日本茶は、私たちの目を楽しませてくれます。
そして、日本茶の味と香りは、私たちの心をホッとさせてくれます。
旨味を味わいたいときには、玉露や煎茶を。あっさりした味わいと香りを楽しみたいときには、番茶や焙じ茶、玄米茶をどうぞ。
日本茶は「贈答品には上級煎茶」「家族団らんには番茶」というように、その味わいや品質(価格)で使い分けられる場面が多くあります。
しかし、近年、お茶に含まれる体に良い成分(テアニン、カテキン、カフェイン等)が注目され、その効果を期待しての使われ方が、よく知られるようになりました。
各成分の効果と成分を含む茶種を知り、「こんな時には、こんなお茶」と覚えておけば、生活にとても役に立ちます。
皆さんの生活の場面や気分に合わせて、より美味しく健康的に、お茶を選んでみませんか?
お茶の味と成分
お茶の味は、甘み・渋み・苦みの3つのバランスで決まります。それぞれの味の主な成分は、いずれも有効成分として注目を集めています。
甘み(テアニン)は、水からでも浸出することができますが、渋み(主にカテキン)と苦み(主にカフェイン)は、80℃から急激に浸出します。
3つの成分を豊富に含む上級煎茶の場合、お湯を少し冷ます(70℃位)ことで、甘み(テアニン)を多く、渋み(カテキン)・苦み(カフェイン)が控えめの味わいに入れられます。
美味しいお茶のバランスと有効成分
|
茶種と成分
茶種によって含まれる成分の割合が違います。
成分の効果を利用するときは、茶種を使い分けてみるのもよいでしょう。
各茶種の成分分析表(茶100g当たり)
茶種 | カテキン | カフェイン | アミノ酸(テアニン) |
---|---|---|---|
玉露 | 10% | 3.5% | 29.1% |
煎茶 | 13% | 2.3% | 24% |
番茶 | 11% | 2% | 19.7% |
ほうじ茶 | 9.5% | 1.9% | 18.2% |
(図説食品成分表新訂版より抜粋)
※人は、甘み(テアニン)より、渋み(カテキン)・苦み(カフェイン)を感知しやすいため、茶に含まれる割合が大きい甘みも、ほのかな味わいに感じられます。
こんな時には、こんなお茶
※お湯の温度:低め60℃~70℃、熱め80℃~90℃
リラックスしたい時
甘みの成分で癒し効果もあるテアニンが多い「上級煎茶」「玉露」を低めのお湯で淹れます。
仕事・会議・受験勉強の合間に
頭脳を活発にしたい時や眠気防止には、カフェインの効果を期待して、熱めのお湯で淹れた「上級煎茶」を。カフェインは「上級煎茶」になるほど、多く含まれています。
力仕事やスポーツ時
別名「筋肉刺激剤」とも呼ばれるカフェインを多く含む「上級煎茶」を熱めのお湯で淹れ、開始20分~30分前に飲みます。
汗を流した後などの水分補給
焙じ茶や番茶を冷やして。
油ものや高カロリーの食事時
口の中のべとつきが消え、さっぱりする「焙じ茶」や「番茶」を。
コレステロール値の上昇を抑えたい時は、カテキンの多い「煎茶」や「番茶」を熱いお湯で濃い目に淹れます。
食後
食後には、虫歯の繁殖菌の増殖を抑えたり、食中毒を予防するカテキンが多く含まれている「煎茶」「番茶」がおすすめです。
酔いを覚ましたい時には
カフェインの覚醒作用を期待して、熱めのお湯で淹れた「上級煎茶」を。
カフェインは、高い温度の湯で淹れるとお茶に多く溶出します。また利尿作用で体内のアルコールが早く排出されます。
寝る前
「玄米茶」や「低カフェイン茶」を。
カフェインを比較的多く含む玉露や上級煎茶を飲むと、人によっては就眠の妨げになることがあります。
インフルエンザの予防
カテキンの多い「煎茶」や「番茶」を飲んだり、うがいをすると効果大。インフルエンザの型に関係なく感染防止能力を発揮します。一日に何回もこまめに繰り返すことが重要!!